首の椎間板ヘルニア、その原因を徹底解明!本当に効果のある改善策とは?

首に痛みやしびれを感じて、もしかして椎間板ヘルニアかもと不安になっていませんか。この記事では、首の椎間板ヘルニアがなぜ起こるのか、その主な原因を詳しく解説します。加齢や日常の姿勢、生活習慣など、意外と身近なところに原因が潜んでいます。さらに、自宅で実践できる効果的な改善策や、症状を悪化させないための予防法まで網羅的にお伝えします。実は、首の椎間板ヘルニアは正しい知識と適切な対処法を知ることで、症状を大きく見直すことが可能です。この記事を読めば、今日から始められる具体的な対策が見つかるはずです。

1. 首の椎間板ヘルニアとは

1.1 椎間板ヘルニアの基礎知識

椎間板ヘルニアという言葉は、多くの方が耳にしたことがあるかもしれません。しかし、その実態について詳しく理解している方は意外と少ないものです。まずは椎間板ヘルニアの基本的な仕組みから見ていきましょう。

私たちの背骨は、首から腰にかけて複数の骨が積み重なって構成されています。この骨と骨の間には、クッションの役割を果たす組織が存在しており、これが椎間板と呼ばれるものです。椎間板は外側の硬い組織である線維輪と、内側のゼリー状の組織である髄核から成り立っています。

椎間板ヘルニアとは、この椎間板が本来あるべき位置から飛び出してしまい、周囲の神経組織を圧迫してしまう状態を指します。飛び出した椎間板が神経を圧迫することで、さまざまな不調が引き起こされるのです。

椎間板は日常生活の中で常に負荷を受けています。立つ、座る、歩くといった基本的な動作から、重いものを持ち上げる動作まで、あらゆる場面で椎間板は衝撃を吸収し、背骨の動きを滑らかにする働きをしています。しかし、この椎間板に過度な負担がかかり続けると、徐々に変性が進み、最終的には破れて中身が飛び出してしまうことがあります。

椎間板ヘルニアは背骨のどの部分にも発生する可能性がありますが、特に首と腰に多く見られます。これは首と腰が可動性が高く、日常的に大きな負担を受けやすい部位であるためです。背骨全体を見渡すと、次のような構造になっています。

部位椎骨の数特徴ヘルニアの発生頻度
頸椎(首)7個可動性が高く、頭部を支える比較的多い
胸椎(背中)12個肋骨と連結し安定性が高い少ない
腰椎(腰)5個体重を支え、大きな負荷がかかる最も多い
仙椎・尾椎複数が癒合骨盤を形成し安定しているほとんどない

椎間板ヘルニアの発症には、急激な負荷がかかった場合と、長期間にわたる負担の蓄積によって起こる場合があります。若い世代では比較的急激な負荷による発症が多く、中高年では椎間板の加齢変化に伴って徐々に進行するケースが目立ちます。

椎間板ヘルニアが神経を圧迫すると、その神経が支配している領域に応じて、さまざまな症状が現れます。痛みだけでなく、しびれや筋力の低下、感覚の異常など、圧迫される神経によって症状の出方は大きく異なります。これは椎間板ヘルニアの特徴的な点であり、どの部位でヘルニアが発生しているかによって、症状の出現する場所が異なるのです。

椎間板の構造をさらに詳しく見ていくと、外側の線維輪は何層にも重なった繊維状の組織で構成されており、非常に強靭な構造をしています。一方、内側の髄核は水分を豊富に含んだゼリー状の組織で、圧力を分散させる役割を担っています。健康な椎間板では、この髄核が線維輪にしっかりと包まれており、外に飛び出すことはありません。

しかし、年齢を重ねるにつれて、あるいは繰り返しの負担によって、線維輪に亀裂が入ることがあります。すると、その亀裂から髄核が少しずつ押し出されていきます。初期段階では椎間板が少し膨らむ程度ですが、進行すると髄核が完全に飛び出してしまい、神経を強く圧迫するようになります。

椎間板ヘルニアの進行度合いは、次のように分類されることがあります。膨隆型では椎間板全体が外側に膨らんだ状態、突出型では線維輪の一部が破れて髄核が飛び出し始めた状態、脱出型では髄核が完全に線維輪の外に出てしまった状態を指します。さらに進行すると、飛び出した髄核が分離してしまうこともあります。

1.2 首に発症する椎間板ヘルニアの特徴

首の椎間板ヘルニアは、正式には頸椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。首の骨は7つの椎骨から構成されており、上から順に第1頸椎、第2頸椎と番号が付けられています。それぞれの椎骨の間には椎間板が存在し、首の柔軟な動きを可能にしています。

首の椎間板ヘルニアには、他の部位のヘルニアとは異なる独特の特徴があります。最も大きな特徴は、首から出ている神経が腕や手指まで伸びているため、首の問題が腕や手の症状として現れるという点です。多くの方が首の不調だと気づかず、腕や手の問題だと考えてしまうことがあります。

頸椎の構造を見ると、他の部位と比較して椎骨が小さく、椎間板も薄いという特徴があります。これは首が頭部を支えながらも、さまざまな方向に動かせる柔軟性を持つ必要があるためです。しかし、この構造ゆえに、首の椎間板は負担を受けやすく、ヘルニアが発生しやすい環境にあるとも言えます。

首の椎間板ヘルニアが発生しやすい場所には傾向があります。特に第5頸椎と第6頸椎の間、第6頸椎と第7頸椎の間でヘルニアが起こりやすいことが知られています。これらの部位は首の動きの中心となる場所であり、日常的に大きな負荷がかかるためです。

ヘルニアの発生部位圧迫される神経主な症状が出る領域特徴的な症状
第4頸椎と第5頸椎の間第5頸神経肩から上腕の外側肩を上げる動作が困難、肩の痛み
第5頸椎と第6頸椎の間第6頸神経上腕から前腕、親指側親指のしびれ、肘を曲げる力の低下
第6頸椎と第7頸椎の間第7頸神経前腕から中指周辺中指のしびれ、肘を伸ばす力の低下
第7頸椎と第1胸椎の間第8頸神経前腕から小指側小指のしびれ、手指の細かい動作の困難

首の椎間板ヘルニアは、圧迫される神経の場所によって症状の出方が大きく変わります。これは頸椎から出る神経が、それぞれ異なる領域を支配しているためです。例えば、上位の頸椎でヘルニアが起こると肩周辺に症状が出やすく、下位の頸椎でヘルニアが起こると手指に症状が出やすくなります。

首の椎間板ヘルニアのもう一つの重要な特徴は、頸椎の中を通る脊髄を圧迫する可能性があることです。脊髄は中枢神経系の重要な部分であり、ここが圧迫されると、手足全体に影響が及ぶことがあります。このような状態を脊髄症と呼び、片腕だけでなく両腕や両足にも症状が現れる可能性があるため、注意が必要です。

日常生活における首の動きを考えてみると、私たちは無意識のうちに首を前後左右に動かし、回転させています。パソコンの画面を見る、スマートフォンを操作する、振り返る、上を見上げるといった動作の全てで、首の椎間板は負荷を受けています。特に現代社会では、長時間同じ姿勢で画面を見続けることが多く、首への負担は以前と比べて格段に増えています。

首を前に倒す姿勢、いわゆる前かがみの姿勢では、頭の重さが椎間板に集中的にかかります。成人の頭部の重さはおよそ5キログラムから6キログラムあり、首を前に傾ける角度が大きくなるほど、椎間板にかかる負担は倍増していきます。首を15度前に傾けると約12キログラム、30度では約18キログラム、60度では約27キログラムもの負荷が首にかかると考えられています。

首の椎間板ヘルニアは、年齢による発症傾向にも特徴があります。比較的若い年代、特に30代から50代にかけて発症することが多く見られます。これは働き盛りの年代であり、仕事や日常生活で首に負担をかける機会が多いことが関係していると考えられます。また、この年代では椎間板がまだある程度の弾力性を保っているため、急激な負荷によって突然ヘルニアが起こることもあります。

一方、高齢になると椎間板自体が徐々に薄くなり、水分が失われて硬くなっていきます。このような加齢変化によって、椎間板ヘルニアというよりは椎間板の変性や骨棘の形成といった別の問題が前面に出てくることもあります。しかし、いずれにしても首の神経を圧迫し、似たような症状を引き起こす可能性があります。

首の椎間板ヘルニアにおいて見逃せないのが、症状の日内変動です。多くの場合、朝起きたときに症状が強く、日中活動しているうちに少し楽になることがあります。これは睡眠中に椎間板が水分を吸収して厚みを増し、起床直後は神経への圧迫が強まるためと考えられています。逆に、夕方から夜にかけて症状が悪化する方もおり、これは一日の疲労が蓄積することが関係しています。

天候や気圧の変化によって症状が変動することも、首の椎間板ヘルニアの特徴として挙げられます。特に低気圧が近づくときや雨の日に症状が悪化する方が少なくありません。これは気圧の変化が体内の血流や組織の膨張に影響を与え、神経への圧迫が強まるためと考えられています。

首の椎間板ヘルニアは、症状の出方が非常に多様です。常に痛みやしびれを感じる方もいれば、特定の姿勢や動作をしたときだけ症状が出る方もいます。また、じっとしているときは何ともないのに、動き始めると痛みが走るというケースもあれば、その逆もあります。このような症状の多様性は、ヘルニアの大きさや位置、圧迫される神経の種類、個人の体質や生活習慣など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることを示しています。

さらに、首の椎間板ヘルニアは他の首の問題と症状が似ていることがあり、見分けが難しい場合もあります。例えば、筋肉の緊張による痛み、首の骨の変形による神経圧迫、あるいは肩周辺の問題など、さまざまな原因で似たような症状が現れることがあります。そのため、症状の特徴を正確に把握し、適切に対処していくことが大切です。

首の椎間板ヘルニアの進行具合も人それぞれです。発症してから徐々に症状が悪化していく方もいれば、ある日突然強い症状が現れる方もいます。また、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す方も少なくありません。このような経過の違いは、ヘルニアの性質や個人の回復力、日常生活での負担の度合いなどが関係しています。

首の構造上の特徴として、椎骨の形状も重要です。頸椎は他の部位の椎骨と比べて独特の形をしており、特に第1頸椎と第2頸椎は他の頸椎とは大きく異なる形状をしています。これは頭部を支え、複雑な動きを可能にするための構造です。このような複雑な構造ゆえに、首の椎間板は特に慎重に扱う必要があります。

首の椎間板ヘルニアを理解するうえで、椎間孔という部分の存在も知っておく必要があります。椎間孔とは、椎骨と椎骨の間にできる隙間のことで、ここから神経が出ています。椎間板ヘルニアが発生すると、この椎間孔が狭くなり、神経が圧迫されやすくなります。首を特定の方向に動かしたときだけ症状が強くなるのは、その動作によって椎間孔がさらに狭くなり、神経への圧迫が増すためです。

2. 首の椎間板ヘルニアの主な原因

首の椎間板ヘルニアが発症する背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。単一の原因だけで発症するケースは少なく、多くの場合は複数の要因が重なることで椎間板への負担が蓄積され、最終的にヘルニアという形で症状が現れます。ここでは、首の椎間板ヘルニアを引き起こす主な原因について、それぞれの特徴と発症のメカニズムを詳しく見ていきます。

2.1 加齢による椎間板の変性

首の椎間板ヘルニアの最も基本的な原因の一つが、年齢を重ねることによる椎間板の変性です。椎間板は、私たちの体の中でも特に負担がかかりやすい部位であり、時間の経過とともに確実に変化していきます。

椎間板は中心部にある髄核と、それを取り囲む線維輪という二重構造で成り立っています。若い頃の髄核には水分が豊富に含まれており、ゼリー状の柔軟性を保っています。この水分が衝撃を吸収するクッションの役割を果たし、首の動きをなめらかにサポートしているのです。しかし、20代をピークとして、髄核に含まれる水分は徐々に減少していきます。

30代から40代にかけて、この水分減少の影響が顕著になってきます。髄核の水分が失われると、椎間板全体の弾力性が低下し、衝撃吸収能力が著しく低下します。その結果、日常生活における首への負担が、以前よりも直接的に椎間板に伝わるようになるのです。

さらに、髄核を取り囲む線維輪も加齢の影響を受けます。線維輪は膠原線維という丈夫な繊維が幾重にも重なって構成されていますが、年齢とともにこの繊維の弾力性が失われ、小さなひび割れや亀裂が生じやすくなります。こうした微細な損傷は、一度に大きく進行するわけではなく、長い年月をかけて少しずつ蓄積されていきます。

50代以降になると、椎間板の変性はさらに進行します。髄核の水分含有量は若い頃の半分以下にまで減少し、椎間板の高さも低くなっていきます。椎間板が薄くなることで、上下の椎骨同士の間隔が狭まり、椎間板にかかる圧力の分散が不均等になります。この状態が続くと、椎間板の特定の部位に過度な負荷が集中し、そこから髄核が飛び出しやすい環境が整ってしまいます

加齢による変性は誰にでも起こる自然な現象ですが、その進行速度には個人差があります。同じ年齢でも、日頃の姿勢や生活習慣、首への負担のかけ方によって、椎間板の変性度合いは大きく異なります。そのため、加齢という避けられない要因があったとしても、日常生活の過ごし方次第で椎間板ヘルニアの発症リスクを軽減することは十分に可能なのです。

年齢層椎間板の状態主な変化
20代水分が豊富で弾力性が高い髄核の水分含有量が最も多く、柔軟性に優れている
30代~40代水分減少が始まる髄核の水分が徐々に減少し、線維輪に微細な亀裂が生じ始める
50代以降変性が顕著になる椎間板の高さが低下し、衝撃吸収能力が大幅に低下する

2.2 長時間のデスクワークやスマホ使用

現代社会において、首の椎間板ヘルニアの発症率が増加している大きな要因として、長時間のデスクワークとスマホ使用が挙げられます。これらの生活習慣は、首への持続的な負担を生み出し、椎間板に深刻なダメージを蓄積させていきます。

デスクワークでの姿勢について考えてみましょう。多くの人は、パソコン画面を見ながら作業をする際、無意識のうちに首を前に突き出す姿勢をとっています。この姿勢では、頭部の重さが首の前方にかかるため、通常よりもはるかに大きな負担が椎間板にかかります。人間の頭部は平均して約5キログラムから6キログラムの重さがありますが、首が前に15度傾くだけで、首にかかる負荷は約12キログラムに増加します。

さらに傾きが大きくなると、負荷は指数関数的に増大します。首を30度前に傾けると約18キログラム、45度では約22キログラム、60度に至っては約27キログラムもの負荷が首の椎間板にかかることになります。これは、10キログラムの米袋を2つ以上、首で支えているのと同じ状態です。

この過剰な負荷が数分程度であれば、大きな問題にはなりません。しかし、現代のデスクワーカーの多くは、1日に8時間以上もこのような姿勢を続けています。休憩時間を除いても、連続して2時間、3時間と同じ姿勢を保ち続けることは珍しくありません。この長時間にわたる持続的な負荷が、椎間板の線維輪に微細な損傷を蓄積させ、最終的にヘルニアの発症につながるのです。

スマホの使用も、同様に深刻な問題を引き起こします。スマホを操作する際、ほとんどの人が下を向いた姿勢をとります。この姿勢は、デスクワークでの前傾姿勢よりもさらに首の角度が深くなることが多く、首への負担は一層大きくなります。特に若い世代では、1日に数時間以上もスマホを使用することが当たり前になっており、首の椎間板は休む間もなく圧迫され続けています。

通勤時間の電車内でスマホを見続け、職場でパソコン作業を長時間行い、休憩時間や帰宅後もまたスマホを手に取る。このような生活パターンでは、首が正常な位置に戻る時間がほとんどありません。椎間板には回復する時間が必要ですが、現代人の生活習慣では、その回復時間が圧倒的に不足しているのです。

さらに問題なのは、デスクワークやスマホ使用中の姿勢が、首だけでなく肩や背中の筋肉にも影響を与えることです。前傾姿勢を長時間続けると、首を支える筋肉が常に緊張状態に置かれます。筋肉の緊張は血流を悪化させ、椎間板への栄養供給を妨げます。椎間板は血管が通っていない組織であり、周囲の組織からの浸透圧による栄養供給に頼っています。そのため、周囲の血流が悪化すると、椎間板の修復能力が低下し、変性が加速してしまうのです。

また、長時間同じ姿勢を続けることで、椎間板内の圧力分布が偏ります。通常、首を様々な方向に動かすことで、椎間板内の圧力は均等に分散されます。しかし、固定された姿勢を長時間保つと、椎間板の特定の部位だけに圧力が集中し続けます。この局所的な圧力の集中が、線維輪の特定部位を弱らせ、そこから髄核が飛び出すきっかけを作るのです。

デスクワークやスマホ使用による首への負担は、一日二日で症状として現れるものではありません。しかし、毎日少しずつ蓄積されたダメージは、数か月、数年という時間をかけて椎間板を確実に傷めていきます。気づいたときには椎間板の変性がかなり進行しており、ある日突然、首や腕に激しい痛みやしびれが現れることになります。

首の傾き角度首にかかる負荷日常での状況
0度(正常位置)約5から6キログラムまっすぐ前を向いている状態
15度前傾約12キログラム軽く画面を見下ろす程度
30度前傾約18キログラム一般的なパソコン作業時の姿勢
45度前傾約22キログラム集中してスマホを見ている姿勢
60度前傾約27キログラム深く下を向いてスマホを操作している姿勢

2.3 首への外傷や事故

首の椎間板ヘルニアは、慢性的な負担の蓄積だけでなく、突発的な外傷や事故によっても引き起こされることがあります。交通事故やスポーツでの衝突など、首に強い衝撃が加わることで、椎間板が急激に損傷し、ヘルニアが発症するケースは決して珍しくありません。

交通事故、特に後方からの追突事故は、首の椎間板に深刻なダメージを与える典型的な原因です。追突された瞬間、体は前方に押し出されますが、頭部は慣性の法則により一瞬遅れて動き始めます。この時間差により、首が急激に後方へ反り返り、その直後に前方へ強く振られます。このような鞭のようなしなりを伴う動きは、いわゆる鞭打ち損傷と呼ばれています。

この急激な首の動きの際、椎間板には瞬間的に非常に大きな力が加わります。通常の動作では決して経験することのない強さの力が、短時間に集中的にかかるため、椎間板の線維輪に一気に亀裂が入ったり、髄核が急激に圧迫されて飛び出したりすることがあります。事故直後は興奮状態やショック状態にあるため痛みを感じにくいこともありますが、数日から数週間後に首や腕の痛み、しびれといった症状が現れてくることが多くあります

スポーツによる首の損傷も、椎間板ヘルニアの重要な原因の一つです。特にコンタクトスポーツと呼ばれる、相手との接触が頻繁に起こる競技では、首への衝撃が避けられません。ラグビーでのタックル、柔道での投げ技や受け身、レスリングでの組み合い、アメリカンフットボールでの衝突など、これらの動作では首に予期せぬ方向からの力が加わることがあります。

こうしたスポーツでの衝撃は、たとえ一度の強い衝撃でなくても、繰り返し受けることで椎間板にダメージが蓄積されていきます。練習や試合を重ねるごとに、線維輪の微細な損傷が増えていき、ある時点で限界を超えてヘルニアが発症することがあります。特に若い頃から長年同じスポーツを続けている人は、気づかないうちに首の椎間板に大きな負担をかけ続けている可能性があります。

転倒や高所からの落下も、首の椎間板に急激な損傷を与える原因となります。転んだ際に頭を強く打ったり、首を不自然にひねったりすると、椎間板への衝撃は相当なものになります。階段を踏み外した、浴室で滑った、脚立から落ちたといった日常的な事故でも、着地の仕方や首の角度によっては椎間板を傷める可能性があります。

職業上の危険も考慮する必要があります。重い物を頻繁に持ち上げる作業や、振動を伴う機械を長時間操作する仕事では、首への負担が継続的にかかります。特に、重量物を頭上に持ち上げる動作や、首をひねりながら重い物を運ぶ動作は、椎間板に不均等な圧力をかけ、損傷のリスクを高めます。

外傷によって生じた椎間板ヘルニアの特徴は、症状の現れ方が比較的急激であることです。慢性的な負担の蓄積によるヘルニアの場合、症状は徐々に悪化していくことが多いのですが、外傷性のヘルニアでは、事故や怪我の後、比較的短期間で強い痛みやしびれが出現します。ただし、必ずしも受傷直後に症状が現れるとは限らず、数日から数週間の時間差がある場合もあります。

また、外傷を受けた際の首の状態も重要な要素です。すでに加齢などによって椎間板の変性がある程度進行していた場合、比較的軽微な衝撃であっても、それがきっかけとなってヘルニアが発症することがあります。つまり、外傷は単独の原因というよりも、既存の椎間板の脆弱性と組み合わさって、ヘルニア発症の引き金となることが多いのです。

事故や怪我の後は、たとえその時点で強い症状がなくても、首の状態に注意を払う必要があります。外見上は何も問題がないように見えても、椎間板内部では損傷が進行していることがあります。事故後しばらくしてから首や腕に違和感や痛みが現れた場合は、椎間板ヘルニアの可能性を考慮する必要があります。

外傷の種類首への影響注意が必要な状況
交通事故(追突)首が急激に前後に振られる事故直後は症状が軽くても、数日後に悪化することがある
スポーツでの衝突予期せぬ方向からの衝撃繰り返しの衝撃が蓄積されることで発症リスクが高まる
転倒や落下着地時の衝撃が首に伝わる頭を打った場合や、首を不自然にひねった場合は特に注意
重労働での負担継続的な過負荷重い物を頻繁に持ち上げる動作や、首をひねる動作の繰り返し

2.4 遺伝的要因と体質

首の椎間板ヘルニアの発症には、遺伝的な要因や個人の体質も深く関わっています。同じような生活習慣を送っていても、ヘルニアになりやすい人となりにくい人がいるのは、こうした生まれ持った体質の違いが影響しているためです。

椎間板の構造や強度には、遺伝子レベルでの個人差が存在します。椎間板を構成する膠原線維やプロテオグリカンといった成分の質や量は、遺伝的な要素によって決まる部分が大きいのです。これらの成分が生まれつき少なかったり、構造的に弱かったりする人は、若い頃から椎間板の変性が進みやすく、ヘルニアを発症するリスクが高くなります。

家族内での発症傾向も、遺伝的要因を示唆する重要な指標です。両親や兄弟姉妹に椎間板ヘルニアの経験者がいる場合、そうでない人に比べて発症リスクが高くなることが知られています。これは単に似た生活習慣を共有しているからというだけでなく、椎間板の性質そのものが遺伝的に受け継がれている可能性を示しています。

体質的な要素として、椎間板への栄養供給能力の違いも考えられます。椎間板は血管が通っていない組織であり、周囲の組織からの浸透圧によって栄養を受け取っています。この栄養供給の効率には個人差があり、効率が低い人は椎間板の修復能力が相対的に弱く、損傷が蓄積しやすくなります。

骨格の構造も、遺伝的に決定される重要な要素です。首の骨の形状や配列、椎間板の厚さや形状は、人によって微妙に異なります。たとえば、生まれつき椎間板が薄い人や、椎骨の形状が標準的でない人は、日常生活での負担が椎間板の特定部位に集中しやすく、ヘルニアのリスクが高まります。

背骨全体の湾曲の程度も、個人の体質によって決まります。首の骨は本来、前方に緩やかなカーブを描いているのが正常な状態ですが、この湾曲が生まれつき少ない人や、逆に湾曲が強すぎる人は、椎間板にかかる圧力の分散が不均等になりやすいのです。こうした骨格の特徴は遺伝的に受け継がれることが多く、親子で似た体型や姿勢の傾向が見られることがあります。

体格も椎間板への負担に影響します。身長が高い人は、それだけ首が長く、頭部の重さを支えるために首への負担が大きくなります。また、体重が重い人は、全身の重量を支える背骨全体への負担が増すため、椎間板にもより大きな圧力がかかります。これらの体格的特徴は、遺伝的な要素が強く影響しています。

組織の柔軟性や関節の可動域にも、体質的な個人差があります。生まれつき関節が柔らかく可動域が広い人は、一見すると体に良さそうに思えますが、実は椎間板に過度な負担をかけるリスクも高くなります。過度に柔軟な関節は、不安定性をもたらし、椎間板に予期せぬストレスを与えることがあるのです。

逆に、関節が硬く可動域が狭い人は、首を動かす際に無理な力がかかりやすく、やはり椎間板を傷める可能性があります。適度な柔軟性が理想的ですが、その「適度」の範囲は人によって異なり、自分の体質に合った動き方を見つけることが大切です。

体内の炎症反応の強さも、遺伝的に決まる部分があります。椎間板が損傷した際の炎症反応が強い体質の人は、症状が重くなりやすく、回復にも時間がかかる傾向があります。同じ程度の椎間板の損傷でも、炎症反応の個人差によって、痛みやしびれの強さが大きく異なることがあるのです。

代謝能力の違いも、椎間板の健康に影響します。組織の修復や再生に関わる代謝機能が高い人は、椎間板に小さな損傷が生じても比較的速やかに修復されますが、代謝機能が低い人は損傷が蓄積しやすくなります。代謝能力には遺伝的な要素が関わっており、親から子へと受け継がれることがあります。

また、体質的に筋肉がつきにくい人は、首を支える筋力が不足しがちで、椎間板への負担が増加します。筋肉の質や量、つきやすさには遺伝的な要因が大きく関わっており、同じ運動をしても筋肉の発達具合には個人差が出ます。

ホルモンのバランスも、椎間板の健康に影響を与える体質的要素です。特に女性の場合、ホルモンバランスの変化が骨や軟骨、椎間板の状態に影響することがあります。更年期を迎えると、女性ホルモンの減少に伴って組織の柔軟性や回復力が低下することがありますが、この影響の受けやすさにも個人差があります。

遺伝的要因や体質は、自分では変えることができない要素です。しかし、これらの要因を理解することで、自分がヘルニアのリスクが高い体質であることを認識し、より注意深く首の健康管理を行うことができます。家族にヘルニアの経験者がいる場合や、体格的に首への負担が大きいと感じる場合は、若いうちから予防的な対策を講じることが重要です。

遺伝的にリスクが高くても、適切な生活習慣を維持することで発症を予防したり、発症時期を遅らせたりすることは十分に可能です。むしろ、自分の体質を知ることで、より効果的な予防策を選択できるという利点があります。体質は変えられませんが、その体質とうまく付き合っていく方法を見つけることが、長期的な首の健康維持につながります。

体質的要因椎間板への影響特徴
椎間板の構造的特徴変性の進みやすさ膠原線維やプロテオグリカンの質と量が遺伝的に決まる
骨格の形状負荷の分散具合椎骨の配列や椎間板の形状に個人差がある
体格首への負担の大きさ身長や体重によって椎間板にかかる圧力が異なる
関節の柔軟性不安定性や過負荷柔軟すぎても硬すぎても椎間板にストレスがかかる
炎症反応の強さ症状の重さと回復速度同じ損傷でも炎症の程度に個人差がある
代謝能力修復・再生の速さ組織の回復力に遺伝的な差がある

3. 首の椎間板ヘルニアの代表的な症状

首の椎間板ヘルニアは、人によって現れる症状が大きく異なります。飛び出した椎間板が神経を圧迫する場所や程度によって、痛みやしびれの範囲が変わってくるのです。初期段階では軽い違和感程度だったものが、放置することで日常生活に支障をきたすレベルまで悪化することも珍しくありません。

症状の現れ方には個人差があり、突然激しい痛みに襲われる方もいれば、徐々に症状が進行していく方もいます。また、天候や体調、姿勢によって症状の強さが変動することも特徴的です。朝起きた時に強く感じる方もいれば、夕方になると症状が悪化する方もいるなど、一日の中でも波があることが多いのです。

ここでは、首の椎間板ヘルニアで多くの方が経験する代表的な症状について、詳しく見ていきます。自分の症状と照らし合わせることで、早期に適切な対応を取ることができます

3.1 首や肩の痛み

首の椎間板ヘルニアで最も多く見られる症状が、首や肩周辺の痛みです。この痛みは単なる肩こりとは異なり、深部から感じる重苦しさや、鋭い痛みとして現れることが特徴です。

痛みの感じ方は、ヘルニアが発生している椎間板の位置によって変わってきます。上位の頸椎でヘルニアが起こっている場合は、首の付け根から後頭部にかけて痛みが広がることがあります。一方、下位の頸椎に問題がある場合は、肩甲骨の内側や肩の上部に痛みを感じることが多くなります。

痛みの性質も様々で、ズキズキとした拍動性の痛みを感じる方もいれば、焼けるような灼熱感を訴える方もいます。また、首を特定の方向に動かした時だけ痛みが出るというケースも少なくありません。特に首を後ろに反らす動作や、横を向く動作で痛みが増強することが多いです。

朝起きた時の痛みが特に強いという方も多くいます。これは睡眠中の姿勢が影響していることが考えられます。枕の高さが合っていなかったり、不自然な姿勢で長時間過ごしていると、首への負担が増して朝の痛みにつながるのです。

痛みの種類特徴悪化する動作
鈍痛重く圧迫されるような痛み長時間同じ姿勢を続けた後
鋭い痛み刺すような瞬間的な痛み首を回す、後ろに反らす
放散痛首から肩、背中へ広がる痛みくしゃみ、咳をする時
灼熱感焼けるような熱を持つ痛み炎症が強い時期に出現

日常生活の中で痛みが増す場面としては、デスクワーク中に前かがみの姿勢を長時間続けた時、重い荷物を持ち上げた時、車の運転で長時間座っていた時などが挙げられます。これらの動作や姿勢は、首への負担を大きくするため、ヘルニアによる痛みを悪化させてしまうのです。

痛みの程度は時間帯によっても変動します。多くの方が経験するのは、活動を始めると痛みが和らぐものの、疲労が蓄積してくる午後から夕方にかけて再び痛みが強くなるというパターンです。これは首周辺の筋肉の疲労と関係しています。

また、天候の変化、特に低気圧が近づいてくると痛みが強くなるという方も少なくありません。気圧の変化が神経や周辺組織に影響を与え、痛みを増幅させると考えられています。

痛みへの対処として、温めると楽になる場合と、冷やした方が楽になる場合があります。急性期で炎症が強い時期は冷やすことが有効で、慢性的な痛みには温めることが効果的とされています。ただし、自己判断だけで対処を続けるのではなく、専門家に相談しながら適切な方法を選ぶことが大切です。

首や肩の痛みは、単に不快なだけでなく、睡眠の質を低下させたり、集中力を妨げたりと、生活全般に影響を及ぼします。痛みのために首を動かさなくなると、さらに筋肉が硬くなり、症状が悪化するという悪循環に陥ることもあります。

3.2 腕や手のしびれ

首の椎間板ヘルニアの特徴的な症状として、腕や手に現れるしびれがあります。このしびれは、飛び出した椎間板が神経根を圧迫することで生じます。神経根とは脊髄から枝分かれして腕へと伸びる神経の根元部分で、ここが圧迫されると腕や手の特定の領域にしびれが現れるのです。

しびれの範囲は、どの神経根が圧迫されているかによって決まります。第5頸神経が圧迫されると肩の外側から親指側にかけて、第6頸神経なら前腕の外側から親指と人差し指へ、第7頸神経では中指を中心に、第8頸神経では薬指と小指にしびれが出やすくなります。

しびれの感じ方も人それぞれで、ピリピリとした電気が走るような感覚を訴える方もいれば、皮膚に膜が張ったような感覚、あるいは正座した後のようなジンジンとした感覚を表現する方もいます。中には、触られている感覚が鈍くなる、温度の感覚がわかりにくくなるという方もいます。

圧迫される神経根しびれが出やすい場所関連する動作の変化
第5頸神経肩の外側、上腕の外側、親指側肩を上げる動作が困難
第6頸神経前腕の外側、親指、人差し指肘を曲げる動作が弱くなる
第7頸神経前腕の後面、中指周辺肘を伸ばす動作が弱くなる
第8頸神経前腕の内側、薬指、小指指を開く動作が困難

しびれは一日中続くこともあれば、特定の姿勢や動作で強くなることもあります。首を特定の方向に向けた時だけしびれが増強する場合は、その動作で神経への圧迫が強まっている可能性があります。また、腕を上げた状態を維持する、重いものを持つといった動作でしびれが悪化することも多く見られます。

夜間にしびれが強くなり、睡眠が妨げられるというケースも少なくありません。寝ている間の姿勢によって神経への圧迫が変化し、明け方にしびれで目が覚めてしまうという方もいます。枕の高さや寝る姿勢を調整することで、夜間のしびれが軽減されることもあります。

しびれの程度は日によって変動することがあります。体調が良い日は比較的軽く感じられても、疲労が溜まっている日や天候が悪い日には強く感じられることがあります。また、ストレスがかかっている時期に症状が悪化するという方も多くいます。

デスクワークやスマートフォンの使用で前かがみの姿勢を続けると、首への負担が増してしびれが強くなる傾向があります。パソコン作業中に腕のしびれが増してくる、スマートフォンを長時間見ていると手のしびれが出てくるといった経験をする方は多いです。

しびれは痛みと同時に現れることもあれば、痛みがほとんどないのにしびれだけが強く出ることもあります。痛みよりもしびれの方が長く続く傾向があり、痛みが落ち着いてきた後もしびれだけが残るというケースも珍しくありません

しびれが長期間続くと、感覚が鈍くなることで日常生活に様々な支障が出てきます。熱いものを触っても気づきにくくなる、物を落としても気づかないといったことが起こりえます。また、しびれている部分をぶつけても痛みを感じにくいため、怪我に気づかずに悪化させてしまうこともあります。

両腕にしびれが出る場合は、複数の神経根が圧迫されているか、あるいは脊髄そのものに問題が生じている可能性があります。片側だけでなく両側にしびれが広がってきた場合は、症状が進行している可能性があるため、特に注意が必要です。

3.3 握力低下や細かい作業の困難

首の椎間板ヘルニアが進行すると、痛みやしびれだけでなく、筋力の低下という形で症状が現れることがあります。特に目立つのが握力の低下で、これは運動神経が圧迫されることで生じる症状です。

握力低下は徐々に進行することが多く、最初は気づかないこともあります。ペットボトルの蓋が開けにくくなった、瓶の蓋を回す力が入らない、ドアノブを回すのに苦労するといった日常的な場面で、初めて握力が落ちていることに気づく方が多いです。

物を持った時に落としやすくなるというのも典型的な症状です。コップを持っていて突然手が開いてしまう、箸を使っているうちに力が入らなくなってくる、鞄を持ち続けることが難しくなるなど、日常生活のあらゆる場面で影響が出てきます。

日常動作困難になる内容影響を受ける場面
つかむ動作物をしっかり握れないペットボトルの開封、握手をする時
つまむ動作指先に力が入らないボタンをかける、小銭を拾う
保持する動作持ち続けることができないスマートフォンを持つ、本を持って読む
回す動作ひねる力が弱いドアノブを回す、蛇口をひねる

細かい作業が困難になるのも、握力低下に伴って現れる重要な症状です。ボタンをかけるのに時間がかかる、ファスナーの取っ手がつまめない、小銭を財布から取り出しにくいといった細かい指の動きに支障が出てきます。

字を書く作業も影響を受けます。ペンを握る力が弱くなり、長時間書き続けることが難しくなります。また、文字が震えたり、以前より字が下手になったと感じたりすることもあります。キーボード入力でも、特定の指がうまく動かせなくなることがあります。

料理や食事の場面でも様々な困難が生じます。包丁を握る力が弱くなり、食材を切るのに時間がかかる、フライパンを持ち上げるのが怖くなる、箸を使っての細かい作業が難しくなるなどです。食事中に箸やスプーンを落としてしまう、熱いものを持っていて落としてしまうといったことも起こりえます。

仕事での影響も深刻です。パソコン作業でマウスをクリックし続けることが辛くなる、工具を使う作業で力が入らない、書類をめくる動作がうまくできないなど、職種によっては業務の遂行が困難になることもあります。

握力の左右差も重要な指標です。右手と左手で明らかに握力に差がある場合、神経の圧迫が片側に偏って起こっている可能性があります。普段使わない方の手の握力低下に気づきにくいこともあるため、意識的に両手の力を比べてみることも大切です。

筋力低下は、しびれや痛みが落ち着いてきた後も残ることがあります。感覚的な症状が改善しても、筋力が完全に戻るまでには時間がかかることが多く、リハビリテーションなどを通じて徐々に回復を図る必要があります。

手指の細かい動きに影響が出ると、趣味の活動にも支障をきたします。楽器の演奏、裁縫、編み物、絵を描くことなど、指先の繊細な動きを必要とする活動が難しくなります。これらの活動ができなくなることで、精神的なストレスを感じる方も少なくありません。

親指と人差し指でつまむ力が特に弱くなることがあります。この動作は日常生活で頻繁に使われるため、低下すると非常に不便を感じます。鍵を差し込む、クリップを外す、シールをはがすといった細かい作業が困難になります。

握力や筋力の低下は、使わないことでさらに進行する可能性があります。痛みやしびれのために手を使うことを避けていると、筋肉が衰えて余計に力が入らなくなるという悪循環に陥ることがあります。適度に手を使い続けることも、機能を維持するためには重要です。

握力低下と併せて、腕全体の筋力低下が起こることもあります。腕を上げる力が弱くなる、肘を曲げる力が入らなくなる、物を押す力が弱くなるなど、腕の様々な動作に影響が及ぶことがあります。高いところにある物を取る、洗濯物を干す、掃除機をかけるといった日常動作も困難になっていきます。

筋力低下が進行すると、筋肉が細くなる筋萎縮という状態になることもあります。手のひらの親指側の筋肉が痩せてきた、前腕が細くなったように感じるといった変化が見られる場合は、神経圧迫が長期間続いている可能性があります。

職場や家庭での役割を果たすことが難しくなると、精神的な負担も大きくなります。今まで当たり前にできていたことができなくなる、周囲に迷惑をかけているのではないかと感じる、自分の価値を見失うといった心理的な影響も無視できません。

握力や筋力の変化は、数値で測定できるため、回復の程度を客観的に評価することができます。定期的に握力を測定することで、症状の進行や改善を把握することができます。ただし、数値だけでなく、実際の生活動作での困難さがどの程度改善しているかも重要な評価ポイントとなります。

早い段階で適切な対応を取ることで、筋力低下の進行を抑えることができます。症状に気づいたら、早めに専門家に相談し、自分の状態に合った対応を始めることが大切です。日常生活での工夫や、適切な運動を取り入れることで、機能の維持や改善を図ることができます。

4. 日常生活でできる効果的な改善策

首の椎間板ヘルニアで悩んでいる方の多くが、日常生活の中で無意識に首へ負担をかけています。症状を根本から見直すためには、特別なことをするよりも、毎日の習慣を見直すことが大切です。ここでは実践しやすく、継続することで確かな変化を感じられる改善策をご紹介します。

4.1 正しい姿勢の維持

首の椎間板ヘルニアの症状を軽減するうえで、姿勢の改善は最も基本的でありながら最も効果的な方法です。現代人の多くは、知らず知らずのうちに首に大きな負担をかける姿勢を長時間続けています。

人間の頭部は約4〜6キログラムの重さがあります。正しい姿勢で頭を支えているときは、この重さは背骨全体で分散されて支えられています。しかし、頭が前に15度傾くだけで首への負担は約12キログラムに、30度傾けば約18キログラム、60度傾けば約27キログラムにまで増加します。これはスマートフォンを見下ろす角度に相当し、首の椎間板に大きな圧力がかかっている状態です。

正しい姿勢の基本は、横から見たときに耳の穴と肩の中心が垂直線上に並ぶ状態です。この状態では頭の重さが首だけでなく背骨全体で支えられ、椎間板への負担が最小限になります。

4.1.1 座っているときの姿勢

デスクワークをしている方は一日の大半を座って過ごします。座位での姿勢が首の負担に直結するため、以下のポイントを意識してください。

椅子には深く腰掛け、背もたれに背中全体をつけます。このとき骨盤を立てることを意識すると、自然と背筋が伸びた状態になります。骨盤が後ろに倒れて猫背になると、その分だけ頭が前に出て首に負担がかかります。

足裏は床にしっかりとつけ、膝の角度は90度程度を保ちます。足が床につかない場合は足置きを使うことで、骨盤を安定させることができます。椅子の高さは、肘を90度に曲げたときに机の高さと同じになるよう調整します。

モニターの位置も重要です。画面の上端が目の高さか、やや下になるように設置すると、自然と視線が少し下向きになり、首への負担が軽減されます。モニターが低すぎると頭を下げる姿勢になり、高すぎると顎を上げる姿勢になってしまいます。モニターまでの距離は40〜50センチメートルが目安です。

キーボードとマウスは体の正面に置き、肩をリラックスさせた状態で操作できる位置に配置します。体の横にマウスを置くと、片側の肩が上がったり首をひねったりする原因になります。

4.1.2 立っているときの姿勢

立位での姿勢も首の健康に大きく影響します。壁に背中をつけて立ったとき、後頭部、肩甲骨、お尻、かかとの4点が壁につく状態が理想的な姿勢です。

立っているときは重心を両足に均等にかけ、片足に体重を寄せる癖がある方は意識して直します。顎は軽く引き、視線は正面よりやや下を見るようにします。胸を張りすぎると腰に負担がかかり、結果的に全身のバランスが崩れて首にも影響するため、自然な状態を保ちます。

長時間立ち仕事をする場合は、時々片足を台に乗せるなど姿勢を変えることで、一部分への負担集中を防げます。

4.1.3 スマートフォンやタブレットを使うときの姿勢

現代生活でスマートフォンの使用を避けることは難しいですが、使い方を工夫することで首への負担を大幅に減らせます。

スマートフォンを見るときは、端末を目の高さまで持ち上げるようにします。下を向いてスマートフォンを見る姿勢は、首の椎間板に非常に大きな負担をかけます。最初は腕が疲れるかもしれませんが、習慣化すると自然にできるようになります。

タブレットを使う場合は、スタンドを活用して画面を立てることで、下を向かずに済みます。寝転がってスマートフォンやタブレットを使う習慣がある方は、この姿勢が首に大きな負担をかけることを理解し、見直すことをおすすめします。

4.1.4 寝るときの姿勢と寝具選び

睡眠中は一日の疲れを回復させる大切な時間ですが、寝具や寝姿勢が適切でないと、かえって首への負担を増やしてしまいます。

枕の高さは首の椎間板への負担に直接関わります。理想的な枕の高さは、仰向けに寝たときに首のカーブが自然に保たれ、立っているときと同じような姿勢になる高さです。枕が高すぎると顎が引けて首が曲がり、低すぎると頭が反り返って首に負担がかかります

横向きで寝る方は、肩幅の分だけ頭が高くなるため、仰向けより高めの枕が必要です。横向き寝では、頭から背骨まで一直線になる高さが理想です。枕は定期的に見直し、へたってきたら交換します。

マットレスの硬さも重要です。柔らかすぎるマットレスは体が沈み込んで背骨のカーブが崩れ、硬すぎるマットレスは体重が一部分に集中してしまいます。仰向けに寝たとき、背骨が自然なS字カーブを保てる硬さが適しています。

うつ伏せ寝は首を横に向けた状態で長時間過ごすことになり、首の椎間板や筋肉に大きな負担をかけるため避けるべき姿勢です。習慣になっている方は、抱き枕などを使って横向きやあお向けで寝る習慣をつけていきます。

4.1.5 姿勢改善のための意識づけ

正しい姿勢を理解しても、無意識のうちに元の姿勢に戻ってしまうことはよくあります。姿勢改善を定着させるためには、日常の中で定期的に姿勢をチェックする仕組みが必要です。

スマートフォンのタイマー機能を使い、30分や1時間ごとにアラームを設定して、そのたびに姿勢を確認する方法が効果的です。最初は頻繁にチェックが必要ですが、徐々に正しい姿勢が体に馴染んできます。

鏡の前で横向きに立ち、自分の姿勢を客観的に見る習慣もおすすめです。写真に撮って記録すると、改善の過程が分かりやすくなります。家族や同僚に姿勢をチェックしてもらうことも、自分では気づかない癖を発見するのに役立ちます。

場面悪い姿勢の例改善ポイント
デスクワーク背中を丸めて画面に顔を近づける背もたれに背中をつけ、モニターを目の高さに調整
スマートフォン使用下を向いて長時間操作する端末を目の高さまで持ち上げて操作する
立ち姿勢片足に重心をかけ、顎が前に出る両足に均等に体重をかけ、顎を軽く引く
就寝時高すぎる枕で顎が引けている立っているときと同じ首のカーブを保てる枕を選ぶ
読書低いテーブルの本を覗き込む本を目の高さに持ち上げるか、書見台を使用

4.2 首のストレッチとエクササイズ

姿勢の改善と並んで重要なのが、首まわりの筋肉を適切にほぐし、強化することです。椎間板ヘルニアがある場合、痛みがあるときに無理な運動をするのは避けるべきですが、適切なストレッチとエクササイズは症状の緩和と再発予防に大きく貢献します。

首の椎間板を直接的に改善することはできませんが、首を支える筋肉を柔軟に保ち、適度に強化することで椎間板への負担を減らし、症状の悪化を防ぐことができます。ここで紹介する方法は、日常生活に取り入れやすく、安全に実践できるものです。

4.2.1 ストレッチの基本原則

首のストレッチを行う際は、いくつかの重要な原則があります。これらを守ることで、効果を高めながら安全に実践できます。

まず、痛みを感じない範囲で行うことが最も重要です。気持ち良いと感じる程度の伸びで止め、痛みを我慢して無理に伸ばすことは避けます。痛みは体からの警告信号であり、それを無視すると症状を悪化させる可能性があります。

呼吸を止めずに、ゆっくりと深呼吸しながら行います。息を吐くときに筋肉がリラックスするため、伸ばす動作は息を吐きながら行うと効果的です。

反動をつけて勢いよく伸ばすのではなく、ゆっくりとした動作で行います。急激な動きは筋肉を傷める原因になります。ストレッチの姿勢は15秒から30秒程度キープし、筋肉が十分に伸びる時間を確保します。

一日に何度も行うより、毎日続けることが大切です。朝起きたとき、仕事の合間、入浴後など、決まったタイミングで習慣化すると続けやすくなります。

4.2.2 首の基本ストレッチ

まず、首を前後左右に動かす基本的なストレッチから始めます。これは首まわりの筋肉全体をほぐす効果があります。

前屈ストレッチは、椅子に座った状態で背筋を伸ばし、両手を頭の後ろで組みます。手の重みだけで頭をゆっくりと前に倒し、首の後ろが伸びるのを感じます。顎を引きすぎないよう注意し、首の自然なカーブを保ちながら行います。この状態を20秒ほどキープし、ゆっくりと元に戻します。

側屈ストレッチでは、右手を頭の左側に置き、手の重みで頭をゆっくりと右側に倒します。左側の首筋が伸びるのを感じながら20秒キープし、反対側も同様に行います。肩が上がらないよう注意し、倒す側とは反対の肩を下げる意識を持つと、より効果的に伸ばせます。

回旋ストレッチは、顔をゆっくりと右に向け、視線も右後ろを見るようにします。首の左側が伸びるのを感じながら20秒キープし、反対側も同様に行います。このとき、肩は正面を向いたままにし、首だけを回すようにします。

4.2.3 肩甲骨まわりのストレッチ

首の症状は肩甲骨まわりの筋肉の緊張と深く関係しています。肩甲骨まわりをほぐすことで、首の負担も軽減されます。

肩回しは、両肩をゆっくりと大きく回す動作です。前から後ろへ10回、後ろから前へ10回回します。このとき、肩甲骨を大きく動かすことを意識し、できるだけ大きな円を描くようにします。

肩甲骨寄せは、背筋を伸ばして座り、両手を後ろで組みます。胸を開きながら肩甲骨を背中の中心に寄せ、5秒間キープしてから力を抜きます。これを10回繰り返します。デスクワークで丸まった背中を開く効果があります。

腕を天井に伸ばし、肘を曲げて手のひらを背中側に下ろす動作も効果的です。反対の手で肘を軽く押さえ、さらに下へ伸ばします。肩甲骨まわりと二の腕の筋肉が伸びるのを感じながら、左右それぞれ20秒キープします。

4.2.4 胸まわりのストレッチ

猫背姿勢が続くと胸の筋肉が縮こまり、肩が前に出て首への負担が増えます。胸を開くストレッチで姿勢改善を促します。

壁を使った胸のストレッチは、壁の角に対して横向きに立ち、壁側の腕を壁につけて肘を90度に曲げます。体を壁とは反対側にゆっくりとひねることで、胸の筋肉が伸びます。30秒キープして反対側も行います。

タオルを使った方法もあります。タオルの両端を持ち、腕を伸ばしたまま頭の後ろを通して上下に動かします。肩甲骨が動き、胸が開くのを感じながら、ゆっくりと10回繰り返します。

4.2.5 首を支える筋肉の強化エクササイズ

ストレッチで柔軟性を高めたら、首を支える筋肉を適度に強化することも大切です。筋肉が弱いと、日常の動作だけで首が疲れやすくなります。

アイソメトリック運動は、筋肉に負荷をかけながら関節を動かさない運動で、椎間板ヘルニアがある方にも安全に行えます。

前方への抵抗運動では、額に手のひらを当て、頭で手を押しながら手で頭を押し返します。首は動かさず、筋肉に力を入れた状態を5秒キープし、5回繰り返します。首の前側の筋肉が鍛えられます。

側方への抵抗運動は、頭の側面に手のひらを当て、同様に押し合います。左右それぞれ5秒を5回行います。後方への抵抗運動は、頭の後ろで手を組み、頭で手を押しながら手で頭を押し返します。

これらの運動は力を入れすぎないことが重要です。最大筋力の30パーセント程度、軽く力を入れる程度で十分な効果があります。

4.2.6 顎引きエクササイズ

現代人に多い頭部前方位、いわゆるストレートネックの改善に効果的なエクササイズです。

椅子に座り、背筋を伸ばします。正面を向いたまま、顎を後ろに引いて二重顎を作るようなイメージで動かします。首を曲げるのではなく、頭を後ろにスライドさせる感覚です。この状態を5秒キープし、ゆっくり戻します。10回を1セットとして、一日に2〜3セット行います。

最初は鏡を見ながら行うと、動きを確認しやすくなります。慣れてくると、デスクワークの合間や信号待ちなど、どこでも実践できます。

4.2.7 全身を使った運動

首だけでなく、全身の血行を良くすることも症状改善に役立ちます。激しい運動は避けつつ、体に優しい運動を取り入れます。

ウォーキングは首への負担が少なく、全身の血流を促進する優れた運動です。背筋を伸ばし、腕を自然に振りながら歩きます。下を向いて歩くと首に負担がかかるため、視線は10メートルほど先を見るようにします。一日20分から30分程度、週に3回以上行うことを目標にします。

水中ウォーキングや水泳は、水の浮力で首への負担が軽減されるため、特におすすめです。ただし、平泳ぎは首を反らす動作が含まれるため避け、クロールや水中ウォーキングを選びます。

ヨガやピラティスも、正しい指導のもとで行えば効果的です。首に負担をかけるポーズは避け、全身のバランスを整える基本的な動きから始めます。

4.2.8 ストレッチとエクササイズの組み合わせ方

効果的に症状を改善するには、ストレッチとエクササイズを適切に組み合わせることが大切です。

朝は体が硬くなっているため、優しいストレッチから始めます。首を前後左右にゆっくり動かし、肩を回すだけでも、一日のスタートとして十分です。

デスクワークの合間には、簡単なストレッチと顎引きエクササイズを取り入れます。1時間に一度、3分程度でも構いません。長時間同じ姿勢を続けないことが重要です。

夕方から夜にかけては、一日の疲れで筋肉が緊張しています。入浴後の体が温まった状態でストレッチを行うと、筋肉がほぐれやすく効果的です。このタイミングで、じっくりと時間をかけてストレッチを行います。

筋力強化のエクササイズは週に3〜4回程度、ストレッチは毎日行うのが理想的です。無理のない範囲で継続することを最優先にします。

時間帯推奨する内容所要時間目的
起床時首の前後左右の基本ストレッチ3〜5分筋肉の目覚めを促す
午前中肩甲骨まわりのストレッチ3分作業前の準備運動
昼休み全身を使った軽いウォーキング10〜15分血流促進と気分転換
午後の休憩顎引きエクササイズと首のストレッチ3〜5分午後の疲労蓄積を防ぐ
就寝前全身のストレッチと筋力強化10〜15分一日の疲れをリセット

4.2.9 注意すべき動作と症状

ストレッチやエクササイズを行う際、避けるべき動作や注意すべき症状があります。

首を大きく回す動作、特に後ろに反らせながら回す動作は、椎間板に大きな負担をかけるため避けます。テレビや雑誌で紹介されている首の運動でも、椎間板ヘルニアがある場合には適さないものがあります。

腕や手にしびれが出る動作、痛みが増す動作は中止します。翌日まで痛みが残る場合も、やり方が適切でないか、強度が高すぎる可能性があります。

ストレッチ後に頭痛やめまいが起こる場合は、動作が急すぎるか、力を入れすぎている可能性があります。より穏やかな動きから始め、徐々に慣らしていきます。

症状が急に悪化した場合は、自己判断で運動を続けず、専門家に相談することが大切です。

4.3 生活習慣の見直し

姿勢とストレッチに加えて、日常の生活習慣全般を見直すことで、首の椎間板ヘルニアの症状を根本から見直すことができます。普段何気なく行っている習慣が、実は症状を悪化させている可能性があります。

4.3.1 睡眠の質を高める

睡眠は体の回復にとって最も重要な時間です。質の高い睡眠をとることで、日中に受けた首への負担を回復させ、症状の改善を促します。

睡眠時間は個人差がありますが、一般的に7〜8時間が適切とされています。睡眠不足は筋肉の緊張を招き、痛みを感じやすくなります。毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起きることで、体内リズムが整い、睡眠の質が向上します。

寝室の環境も重要です。室温は16度から20度程度が理想的で、暑すぎても寒すぎても睡眠の質が下がります。照明は消して真っ暗にするか、どうしても明かりが必要な場合は足元に弱い明かりをつける程度にします。

就寝前の習慣も見直します。寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ていると、画面から出る光が睡眠の質を下げます。就寝の1時間前からはスクリーンを見ることを避け、読書や音楽を聴くなど、リラックスできる活動に切り替えます

カフェインは覚醒作用があるため、午後3時以降は控えます。コーヒーや紅茶だけでなく、緑茶やチョコレートにもカフェインが含まれていることを意識します。寝る前のアルコールも、眠りを浅くするため避けたほうが良いでしょう。

入浴は就寝の1〜2時間前に済ませます。体温が下がり始めるタイミングで布団に入ると、自然な眠気が訪れます。湯船にゆっくりつかることで筋肉もほぐれ、首の緊張も和らぎます。

4.3.2 栄養バランスの整った食事

食事の内容は体の回復力に直接影響します。椎間板や筋肉の健康を保つために必要な栄養素を意識的に摂取します。

タンパク質は筋肉の材料となる重要な栄養素です。魚、肉、卵、大豆製品などから、毎食適量を摂取します。特に青魚に含まれる脂質には炎症を抑える働きがあるとされ、症状の緩和に役立つ可能性があります。

カルシウムとビタミンDは骨の健康に欠かせません。乳製品、小魚、緑黄色野菜からカルシウムを、日光を浴びることと食事からビタミンDを摂取します。骨が丈夫であることは、椎間板への負担を間接的に軽減します。

ビタミンB群は神経の働きを支え、しびれなどの神経症状の改善に関わるとされています。豚肉、レバー、玄米、ナッツ類に多く含まれています。

抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEは、体の炎症を抑える働きがあります。新鮮な野菜や果物を毎日の食事に取り入れます。特に色の濃い野菜には、多くの栄養素が含まれています。

水分補給も忘れてはいけません。椎間板は水分を含むことでクッションの役割を果たしています。一日に1.5リットルから2リットル程度の水分を、こまめに摂取します。コーヒーやお茶だけでなく、水そのものを飲む習慣をつけます。

避けたいのは、過度な塩分、糖分、加工食品です。これらは体の炎症を促進する可能性があります。外食が多い方は、できるだけ野菜の多いメニューを選び、塩分控えめを心がけます。

4.3.3 体重管理

体重が増えると、その分だけ首を含む全身の関節や椎間板への負担が増えます。適正体重を維持することは、症状の悪化を防ぐために重要です。

BMI(体格指数)を目安に、自分の適正体重を知ります。急激なダイエットは体に負担をかけるため避け、月に1〜2キログラム程度のペースで無理なく減量します。

食事の量を極端に減らすのではなく、内容を見直します。野菜を先に食べることで満腹感が得られやすくなり、糖質の吸収も穏やかになります。よく噛んでゆっくり食べることで、少ない量でも満足感が得られます。

間食の習慣がある方は、内容を工夫します。スナック菓子や甘い物の代わりに、ナッツ類、ドライフルーツ、ヨーグルトなど、栄養価の高いものを選びます。

4.3.4 ストレス管理とリラックス

精神的なストレスは筋肉の緊張を引き起こし、痛みを感じやすくします。ストレスをため込まず、適切に発散することが症状改善につながります。

深呼吸は最も簡単でどこでもできるリラックス法です。鼻から4秒かけて息を吸い、2秒止め、口から6秒かけてゆっくり吐きます。これを5回繰り返すだけでも、副交感神経が優位になり、体がリラックスします。

趣味の時間を持つことも大切です。好きなことに没頭している時間は、自然とストレスが解消されます。音楽を聴く、絵を描く、ガーデニングをするなど、自分が楽しめることを定期的に行います。

自然の中で過ごす時間を作ることも効果的です。公園を散歩する、川辺でくつろぐといった活動は、心身のリフレッシュにつながります。

瞑想やマインドフルネスも、ストレス管理に役立ちます。一日10分、静かな場所で目を閉じ、呼吸に意識を向けるだけでも、心が落ち着きます。

人との良好な関係も、ストレス軽減に重要です。悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうことで、心の負担が軽くなります。

4.3.5 入浴習慣の工夫

入浴は体を温めて血行を促進し、筋肉の緊張をほぐす効果があります。毎日の入浴を効果的に活用します。

湯船につかる習慣がない方も、できるだけ湯船に入ることをおすすめします。38度から40度程度のぬるめのお湯に、15分から20分ほどゆっくりつかります。熱すぎるお湯は体に負担をかけるため避けます。

入浴中に首をゆっくり動かすと、温まった筋肉がほぐれやすくなります。水中では浮力があるため、首への負担も軽減されます。ただし、激しく動かすことは避け、ゆっくりとした動作で行います。

肩まで湯船につかることで、首や肩まわりの血行が促進されます。浴室が寒いと体が緊張するため、入浴前に浴室を温めておくと良いでしょう。

入浴後は体温が上がり、筋肉が柔らかくなっているため、ストレッチを行うのに最適なタイミングです。このタイミングを活用して、首や肩のストレッチを行います。

4.3.6 仕事環境の調整

一日の大半を過ごす職場環境を整えることは、症状改善に直結します。できる範囲で環境を調整していきます。

机と椅子の高さ、モニターの位置など、作業環境の基本は姿勢の項目で述べたとおりです。これらに加えて、照明の調整も重要です。モニターに光が反射すると、画面を見るために不自然な姿勢をとることになります。照明の位置を調整するか、モニターの角度を変えて反射を防ぎます。

書類を見ながらパソコン作業をする場合、書類立てを使うと下を向かずに済みます。書類とモニターの高さを揃えることで、視線の移動が楽になります。

電話を頻繁に使う場合、受話器を肩と耳で挟む姿勢は首に大きな負担をかけます。スピーカーフォンやヘッドセットの使用を検討します。

長時間のデスクワークでは、こまめに休憩を取ることが欠かせません。タイマーを設定して、50分作業したら10分休憩するなど、定期的に席を立って体を動かす習慣をつけます。休憩時間には、トイレに行く、お茶を入れる、窓の外を見るなど、作業とは異なる動作を取り入れます。

リモートワークの場合、自宅の作業環境が整っていないことがあります。ダイニングテーブルで作業する、ソファでパソコンを使うといった環境は、首への負担が非常に大きくなります。可能な限り、適切な机と椅子を用意し、作業専用のスペースを確保します。

4.3.7 通勤時間の過ごし方

通勤時間も首への負担を考慮した過ごし方ができます。

電車やバスでスマートフォンを見る際は、端末を目の高さに持ち上げます。混雑した車内では難しいかもしれませんが、できる範囲で工夫します。座席に座れた場合も、背もたれに背中をつけ、正しい姿勢を保ちます。

居眠りをする際、首がガクッと前や横に倒れる姿勢は、椎間板に大きな負担をかけます。首を支えるネックピローを使う、または無理に寝ようとせず、目を閉じて休む程度にとどめます。

重い荷物を片側の肩だけで持つ習慣は、体のバランスを崩し、首への負担につながります。リュックサックを使う、キャリーケースを活用するなど、両側で均等に重さを分散させる方法を選びます。

4.3.8 季節ごとの注意点

季節によって、首への影響が変わることも意識します。

冬は寒さで筋肉が緊張しやすく、症状が悪化しやすい季節です。外出時はマフラーやネックウォーマーで首を温め、室内でも首まわりが冷えないよう注意します。暖房を使う際は、温風が直接首に当たらないよう風向きを調整します。

夏は冷房による冷えに注意が必要です。冷房の効いた室内では、首にスカーフを巻くなどして冷気から守ります。汗をかいたまま冷房の効いた部屋に入ると、急激な温度変化で筋肉が緊張するため、汗を拭いてから入室します。

梅雨時期は気圧の変化が大きく、体調を崩しやすい時期です。規則正しい生活を心がけ、体調管理に気を配ります。

4.3.9 日常動作での注意点

日常の何気ない動作にも、首への負担を減らす工夫ができます。

高い場所のものを取る際、無理に首を反らすと椎間板に負担がかかります。踏み台を使う、事前に取りやすい位置に物を配置しておくなどの工夫をします。

掃除機をかける際、前かがみの姿勢が続くと首に負担がかかります。掃除機の柄を長めに調整し、背筋を伸ばした姿勢で使えるようにします。

洗顔や歯磨きで洗面台に向かう際、極端に下を向く姿勢を避けます。洗面台の高さが低い場合は、膝を曲げて腰を落とし、首だけを曲げないようにします。

買い物袋は片手で持たず、両手に分散させます。エコバッグを使う場合も、肩掛けタイプより、両手で持てるタイプや背負えるタイプを選ぶと、体への負担が分散されます。

車の運転では、バックミラーとサイドミラーを適切な位置に調整し、無理な姿勢で後方確認をしなくて済むようにします。長時間運転する場合は、1〜2時間ごとに休憩を取り、車から降りて体を動かします。

4.3.10 記録をつける習慣

症状の変化や生活習慣を記録することで、何が症状に影響しているかが分かりやすくなります。

簡単な日記をつけ、その日の痛みの程度、行った運動、睡眠時間、食事内容などを記録します。スマートフォンのアプリを使えば、入力も簡単です。

数週間続けると、症状が良い日と悪い日のパターンが見えてきます。どのような行動が症状改善につながっているか、逆にどのような行動が悪化させているかが明確になり、生活習慣の改善に役立ちます。

また、記録を見返すことで、徐々に症状が改善している様子が確認でき、継続する意欲にもつながります。

生活場面見直すべき習慣改善方法
就寝前寝る直前までスマートフォンを見る就寝1時間前からスクリーンを避ける
食事栄養バランスが偏っているタンパク質、ビタミン、ミネラルを意識的に摂取
通勤重い荷物を片側で持つリュックサックやキャリーケースを活用
入浴シャワーだけで済ませるぬるめの湯船に15〜20分つかる
休憩長時間休憩なしで作業を続ける50分ごとに10分の休憩を取る
ストレス悩みを一人で抱え込む趣味の時間を持つ、信頼できる人に相談する

首の椎間板ヘルニアの症状を根本から見直すには、特別なことよりも、日常の小さな習慣の積み重ねが重要です。一度にすべてを変えようとせず、できることから少しずつ取り入れていくことで、無理なく継続できます。

姿勢の改善、適切なストレッチとエクササイズ、そして生活習慣全般の見直しを組み合わせることで、症状は確実に変化していきます。焦らず、長い目で見て取り組む姿勢が大切です。

これらの改善策を実践する中で、自分の体の変化に敏感になることも重要です。どのような動作や習慣が症状に影響するのか、何をすると体が楽になるのかを観察し、自分に合った方法を見つけていってください。

5. 首の椎間板ヘルニアの予防法

首の椎間板ヘルニアは、一度発症すると長期間にわたって生活の質を低下させる可能性がある症状です。しかし、日常生活の中で適切な予防策を講じることで、発症リスクを大幅に減らすことができます。ここでは、具体的で実践しやすい予防法について詳しく見ていきます。

5.1 デスクワーク環境の整備

現代社会において、長時間のデスクワークは避けられない方も多いでしょう。デスクワーク環境を適切に整えることは、首の椎間板ヘルニアの予防において最も重要な要素の一つです。不適切な環境で長時間作業を続けると、首への負担が蓄積し、椎間板の変性を早める原因となります。

5.1.1 机と椅子の高さ調整

机と椅子の高さのバランスは、首への負担を左右する重要な要素です。椅子に深く腰掛けたとき、足裏全体が床にしっかりと接地している状態が理想的です。この状態で、肘を90度に曲げたときに机の高さと肘の高さが揃うように調整しましょう。

椅子の高さが低すぎると、猫背になりやすく首が前に突き出る姿勢となります。逆に高すぎると、肩が上がった状態が続き、首の筋肉に余計な緊張を生じさせます。机と椅子の高さを適切に調整することで、首の自然なカーブを維持したまま作業できる環境を作ることができます

5.1.2 画面の位置と角度

パソコンやタブレットの画面位置は、首への負担を決定づける重要な要素です。画面の上端が目線の高さか、やや下になるように設定することが推奨されます。これにより、自然と視線が少し下向きになり、首の負担が最小限に抑えられます。

画面が低すぎる位置にあると、首を大きく前に曲げた状態で長時間過ごすことになります。この姿勢では、頭部の重さ(成人で約5キログラム)を首の筋肉と椎間板で支え続けることになり、大きな負担となります。画面までの距離は、腕を伸ばしたときの指先が画面に届くくらいが適切です。

ノートパソコンを使用する場合は、画面が低くなりがちです。この場合、別途外付けのキーボードとマウスを用意し、ノートパソコンの下に台を置いて画面の高さを上げる工夫が必要です。

5.1.3 キーボードとマウスの配置

キーボードとマウスの配置も、首への間接的な影響を及ぼします。キーボードは体の正面に配置し、手が自然に届く位置に置くことが大切です。マウスはキーボードのすぐ横、利き手側に配置しましょう。

マウスが遠い位置にあると、肩を伸ばした状態で操作することになり、肩や首の筋肉に不必要な緊張が生じます。この状態が長時間続くと、首周辺の筋肉の柔軟性が失われ、椎間板への負担が増加します。

5.1.4 照明環境の調整

照明環境も見落とされがちですが、首への負担に関係します。画面が暗すぎたり明るすぎたりすると、目を細めたり首を前に突き出して画面を見ようとする姿勢になりがちです。周囲の明るさと画面の明るさのバランスを取り、自然な姿勢で作業できる環境を整えましょう。

窓からの光が画面に反射する場合は、ブラインドやカーテンで調整するか、画面の角度を変えることで対応します。また、天井の照明だけでなく、デスクライトを併用することで、手元を明るくしながら画面の見やすさを保つことができます。

5.1.5 定期的な環境の見直し

デスクワーク環境は、一度整えたら終わりではありません。使用する椅子や机が変わったり、作業内容が変化したりすることもあります。定期的に自分の作業環境を見直し、首や肩に違和感がないか確認することが大切です。

特に、新しい椅子や机を導入した際は、数日間使用してみて体の反応を観察しましょう。首や肩のこりが増えた場合は、高さや角度を再調整する必要があります。

5.2 定期的な運動習慣

首の椎間板ヘルニアを予防するためには、首周辺の筋肉を適度に鍛え、柔軟性を維持することが重要です。運動習慣は、椎間板への栄養供給を促進し、首を支える筋肉を強化する効果があります。

5.2.1 有酸素運動の実践

ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、全身の血流を改善し、椎間板への栄養供給を促します。椎間板は血管がほとんど通っていない組織であり、周囲の組織からの拡散によって栄養を得ています。定期的な有酸素運動によって全身の循環が改善されることで、椎間板の健康維持につながります

ウォーキングを行う際は、背筋を伸ばし、顎を軽く引いた姿勢を意識します。スマートフォンを見ながらの歩行は、首を前に突き出す姿勢となり、かえって首への負担を増やしてしまうため避けましょう。週に3回以上、1回あたり30分程度を目安に継続することが推奨されます。

水泳は、水の浮力により首への負担を軽減しながら運動できる利点があります。特に背泳ぎは、首を自然な位置に保ちながら全身を動かせるため、首の椎間板ヘルニア予防に適しています。ただし、クロールや平泳ぎで息継ぎの際に首を大きく捻る動作は、首に負担をかける可能性があるため注意が必要です。

5.2.2 首周辺の筋力強化

首を支える筋肉を適切に強化することで、椎間板にかかる負担を分散させることができます。ただし、首の筋肉は比較的小さく繊細な筋肉群であるため、無理な負荷をかけることは避けなければなりません。

首の筋力を強化する基本的な方法として、等尺性運動があります。これは筋肉を動かさずに力を入れる運動です。例えば、手のひらを額に当て、首を前に倒そうとする力と、手で押し返す力を均衡させた状態を5秒から10秒保ちます。この動作を前後左右それぞれの方向で行うことで、首周辺の筋肉をバランスよく強化できます。

この運動のポイントは、実際に首を動かさないことです。筋肉に力を入れながらも、首の位置は固定したまま維持します。力加減は、疲労感はあるものの痛みを感じない程度に調整しましょう。

5.2.3 肩甲骨周辺の運動

首の健康は、肩甲骨周辺の筋肉の状態とも密接に関係しています。肩甲骨周辺の筋肉が硬くなったり弱くなったりすると、首の筋肉に余計な負担がかかり、結果として椎間板への負担も増加します。

肩甲骨を意識的に動かす運動を取り入れることで、首への負担を軽減できます。両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように前後に回す運動は、肩甲骨周辺の筋肉をほぐす効果があります。前回しと後ろ回しをそれぞれ10回ずつ、1日に数セット行うことが推奨されます。

また、肩甲骨を意識的に寄せる運動も効果的です。背筋を伸ばした状態で、両方の肩甲骨を背骨に向かって寄せるように動かし、5秒ほど保持してから力を抜きます。この動作を10回程度繰り返すことで、姿勢を維持する筋肉を強化できます。

5.2.4 体幹の安定性向上

首の健康を維持するためには、体幹の安定性も重要です。体幹が不安定だと、バランスを取るために首や肩に余計な力が入りやすくなります。体幹を安定させることで、首への負担を間接的に軽減することができます。

プランクのような体幹を安定させる運動は、首の予防にも役立ちます。ただし、プランクを行う際は首の位置に注意が必要です。顎を引きすぎたり、逆に上げすぎたりせず、背骨から頭までが一直線になるように意識します。最初は10秒から20秒程度から始め、徐々に時間を延ばしていきます。

5.3 日常動作での首への配慮

日常生活の中での何気ない動作が、首への負担を蓄積させていることがあります。これらの動作を見直すことで、椎間板ヘルニアの予防につながります。

5.3.1 起床時の注意点

朝、ベッドから起き上がる際の動作は、首に大きな負担をかけやすい場面です。仰向けの状態から勢いよく上半身を起こそうとすると、首の筋肉に急激な負荷がかかります。

適切な起き上がり方は、まず横向きになってから体を起こす方法です。仰向けの状態から、膝を曲げながら横向きになります。その状態から、下側の肘をついて上半身を支えながら、ゆっくりと起き上がります。この方法であれば、首への急激な負担を避けることができます。

5.3.2 寝具の選び方

睡眠中の首の状態も、椎間板ヘルニアの予防に影響します。枕の高さが適切でないと、睡眠中ずっと首が不自然な角度に曲がった状態が続き、椎間板への負担となります。

仰向けで寝たときに、首の自然なカーブが維持される高さの枕を選ぶことが重要です。枕が高すぎると顎が引けた状態になり、低すぎると首が後ろに反った状態になります。横向きで寝る場合は、頭から背骨までが一直線になる高さが適切です。

枕の素材も検討する価値があります。首のカーブにフィットする形状のものや、適度な弾力性を持つ素材のものを選ぶことで、睡眠中の首への負担を軽減できます。ただし、個人の体格や好みによって適切な枕は異なるため、実際に使用してみて首や肩の状態を確認することが大切です。

マットレスの硬さも重要な要素です。柔らかすぎるマットレスは体が沈み込み、首に余計な負担をかけます。逆に硬すぎると体圧が分散されず、特定の部位に負担が集中します。適度な硬さで体圧を分散できるマットレスを選ぶことで、睡眠中の首への負担を最小限に抑えることができます

5.3.3 スマートフォンやタブレットの使い方

スマートフォンやタブレットの使用は、現代人の首の問題を引き起こす大きな要因となっています。これらのデバイスを使用する際、多くの方が首を前に曲げて画面を覗き込む姿勢になりがちです。

スマートフォンを使用する際は、デバイスを目の高さまで持ち上げることが理想的です。肘を体に近づけた状態で、手だけを上げて画面を見るようにします。長時間の使用が必要な場合は、スマートフォンスタンドなどを活用し、画面を目の高さに固定することも検討しましょう。

タブレットについても同様です。膝の上に置いて使用するのではなく、適切な高さのスタンドに立てかけるか、机の上で角度をつけて使用します。ベッドの中で寝転がってタブレットを使用する習慣がある場合は、この習慣を見直すことも予防につながります。

5.3.4 荷物の持ち方

日常的に荷物を持つ際の姿勢も、首への負担に影響します。重い荷物を片側だけで持ち続けると、体のバランスが崩れ、首にも歪みが生じます。

バッグを持つ場合は、左右交互に持ち替える習慣をつけましょう。リュックサックを使用する場合は、両肩に均等に重さがかかるように調整し、ベルトをしっかりと締めます。ショルダーバッグを使用する際は、斜めがけにして体に密着させることで、重心のバランスを保ちやすくなります。

買い物袋などを持つ際も、できるだけ左右均等に分けて持つようにします。重い荷物を持ち上げる際は、首だけで支えようとせず、膝を曲げてしゃがみ込み、体全体を使って持ち上げる動作を心がけましょう。

5.4 休息と回復の重要性

首の椎間板ヘルニアを予防するためには、適切な休息と回復の時間を確保することも欠かせません。継続的な負担にさらされた状態では、どれだけ予防策を講じても効果が限定的になります。

5.4.1 適切な休憩の取り方

デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合、定期的に休憩を取ることが重要です。理想的には、45分から60分の作業ごとに5分から10分の休憩を挟むことが推奨されます。

休憩中は、椅子から立ち上がって歩いたり、簡単なストレッチを行ったりします。デスクに座ったままでも、首をゆっくりと前後左右に動かしたり、肩を回したりするだけでも効果があります。重要なのは、作業姿勢から離れて筋肉の緊張を緩和させることです。

休憩のタイミングを忘れがちな方は、タイマーをセットするか、スマートフォンのアプリを活用して定期的に通知を受け取るようにすることも一つの方法です。

5.4.2 睡眠の質の確保

十分な睡眠時間と質の高い睡眠は、体の回復に不可欠です。睡眠中、体は日中に蓄積された疲労を回復させ、組織の修復を行います。椎間板も同様に、睡眠中に水分を吸収して膨らみ、日中に失われた高さを回復させます。

成人の場合、7時間から8時間の睡眠時間を確保することが一般的に推奨されます。ただし、必要な睡眠時間は個人差があるため、日中に過度な眠気を感じない程度の睡眠時間を見つけることが大切です。

睡眠の質を高めるためには、就寝前のルーティンを整えることも有効です。就寝の1時間から2時間前には、スマートフォンやパソコンの画面を見ることを控えます。ブルーライトが睡眠の質を低下させる可能性があるためです。また、就寝前にリラックスできる環境を整え、心身を落ち着かせることで、より深い睡眠を得やすくなります。

5.4.3 ストレス管理

精神的なストレスは、筋肉の緊張を引き起こし、間接的に首への負担を増加させます。ストレスを感じると、無意識のうちに肩に力が入ったり、歯を食いしばったりすることがあります。これらの状態が続くと、首周辺の筋肉にも緊張が広がり、椎間板への負担が増します。

ストレス管理の方法は人によって異なりますが、深呼吸や瞑想、趣味の時間を持つことなどが一般的に効果的とされています。深呼吸は、いつでもどこでも実践できる簡単な方法です。ゆっくりと息を吸い込み、さらにゆっくりと吐き出すことを数回繰り返すだけでも、心身の緊張を緩和させる効果があります。

5.5 栄養面からの予防アプローチ

首の椎間板の健康を維持するためには、適切な栄養摂取も重要な要素です。椎間板は主にコラーゲンと水分で構成されており、これらの成分を維持するための栄養素を十分に摂取することが予防につながります。

5.5.1 水分摂取の重要性

椎間板は約80パーセントが水分で構成されており、適切な水分補給は椎間板の健康維持に直結します。日中の活動により椎間板から水分が失われ、夜間の休息時に再び水分を吸収するというサイクルが繰り返されます。

1日あたり1.5リットルから2リットル程度の水分摂取が推奨されます。ただし、これは飲料水だけでなく、食事から摂取する水分も含まれます。こまめに水分を補給する習慣をつけることで、椎間板の水分量を適切に保つことができます。

コーヒーや紅茶などのカフェインを含む飲料は、利尿作用があるため、水分補給としては適さない場合があります。水やノンカフェインのお茶を中心に摂取することが望ましいです。

5.5.2 コラーゲンの生成を支える栄養素

椎間板の構造を維持するコラーゲンは、体内で合成される物質です。このコラーゲンの生成を支えるために、ビタミンCやタンパク質などの栄養素が必要です。

ビタミンCは、野菜や果物に豊富に含まれています。特に、ブロッコリー、ピーマン、キャベツなどの野菜や、柑橘類、いちご、キウイフルーツなどの果物に多く含まれます。これらの食材を日常的に取り入れることで、コラーゲンの生成をサポートできます。

タンパク質は、魚、肉、卵、大豆製品などに含まれます。毎食、手のひら一つ分程度のタンパク質源を取り入れることが一つの目安となります。ただし、肉類の過剰摂取は他の健康問題を引き起こす可能性もあるため、魚や大豆製品なども組み合わせてバランスよく摂取することが重要です。

5.5.3 炎症を抑える食事

椎間板周辺に炎症が生じると、ヘルニアのリスクが高まる可能性があります。炎症を抑える効果が期待される食材を積極的に取り入れることも、予防の一環となります。

青魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、炎症を抑える働きがあるとされています。さば、いわし、さんまなどの青魚を週に2回から3回程度食事に取り入れることが推奨されます。また、くるみやアマニ油にもオメガ3脂肪酸が含まれています。

色の濃い野菜や果物に含まれる抗酸化物質も、体内の炎症を抑える働きが期待されます。トマト、ほうれん草、ブルーベリーなど、さまざまな色の野菜や果物をバランスよく摂取することで、多様な抗酸化物質を取り入れることができます。

逆に、過度な糖分や加工食品の摂取は、体内の炎症を促進する可能性があるとされています。甘い飲料やお菓子、加工肉などの摂取を控えめにすることも、間接的な予防につながります。

5.5.4 カルシウムとビタミンDの役割

椎間板を支える椎骨の健康も、椎間板ヘルニアの予防には重要です。椎骨が弱くなると、椎間板への負担が増加する可能性があります。カルシウムとビタミンDは、骨の健康を維持するために必要な栄養素です。

カルシウムは、乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜などに含まれます。1日あたり600ミリグラムから800ミリグラム程度の摂取が目安とされています。ただし、カルシウムだけを大量に摂取しても、体内への吸収率が低いため、他の栄養素とのバランスが重要です。

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。魚類、卵、きのこ類などに含まれるほか、日光を浴びることで皮膚でも生成されます。1日15分から30分程度、適度に日光を浴びることで、体内でのビタミンD生成を促すことができます。

5.6 気候や季節による配慮

気候や季節の変化も、首の椎間板への影響を考慮すべき要素です。季節ごとに適切な対策を講じることで、年間を通じて首の健康を維持できます。

5.6.1 寒冷期の注意点

気温が低い時期は、筋肉が硬くなりやすく、首の柔軟性が低下しがちです。寒さで首や肩の筋肉が緊張した状態が続くと、椎間板への負担が増加します。

冬季や寒冷地では、首周りを適切に保温することが重要です。マフラーやネックウォーマーなどを活用して、首を冷やさないようにしましょう。室内でも、暖房によって室温を適切に保つことが大切です。ただし、暖房によって空気が乾燥すると、水分不足になりやすいため、こまめな水分補給を心がけます。

朝起きた直後や、寒い場所から暖かい場所へ移動した直後など、体温の変化が大きいタイミングでは、急激な首の動きを避けることが賢明です。筋肉が十分に温まるまでは、ゆっくりとした動作を心がけましょう。

5.6.2 高温期の配慮

夏季や高温多湿の環境では、発汗によって体内の水分が失われやすくなります。椎間板の水分量を維持するために、より意識的な水分補給が必要です。

また、冷房の効いた室内と屋外の温度差が大きい場合、その温度変化に体が対応しようとして筋肉に余計な緊張が生じることがあります。冷房の風が直接首に当たる環境は避け、必要に応じて薄手のストールなどで首を保護することも検討しましょう。

5.6.3 梅雨時や気圧変化への対応

気圧の変化が大きい時期、特に梅雨時や台風の接近時には、体調の変化を感じる方も多くいます。気圧の変化は、体内の血流や神経の働きに影響を与える可能性があります。

このような時期には、いつも以上に首への配慮を意識することが大切です。無理な姿勢や動作を避け、十分な休息を取るようにします。気圧の変化による体調不良を感じた場合は、無理をせず活動量を調整することも予防の一環です。

5.7 長期的な視点での予防計画

首の椎間板ヘルニアの予防は、短期的な対策だけでなく、長期的な視点での計画的なアプローチが効果的です。年齢や生活環境の変化に応じて、予防策も調整していく必要があります。

5.7.1 年代別の予防重点項目

年齢によって、首の椎間板の状態や生活環境は変化します。それぞれの年代に応じた予防の重点項目を理解しておくことで、より効果的な予防が可能になります。

年代椎間板の状態予防の重点項目特に注意すべき生活習慣
20代から30代椎間板の水分量は比較的保たれているが、デスクワークやスマートフォン使用による負担が増加しやすい時期正しい姿勢の習慣化、デスクワーク環境の整備、定期的な運動習慣の確立長時間のスマートフォン使用、夜更かしによる睡眠不足、運動不足
40代から50代椎間板の水分量が徐々に減少し始め、変性が進行しやすくなる時期首周辺の筋力維持、柔軟性の確保、栄養面での配慮の強化仕事の責任増加によるストレス、運動習慣の中断、不規則な生活リズム
60代以降椎間板の変性が進み、厚みが減少している状態が多い時期無理のない範囲での適度な運動継続、転倒予防、急激な動作の回避活動量の急激な減少、社会的つながりの減少によるストレス、栄養の偏り

この表はあくまで一般的な傾向を示したものであり、個人差が大きいことに注意が必要です。自分の体の状態をよく観察し、その時々に適した予防策を選択することが重要です。

5.7.2 生活環境の変化への適応

転職や引っ越し、家族構成の変化など、生活環境が大きく変わるタイミングでは、首への負担も変化します。新しい環境に適応する際には、予防策も見直す必要があります。

例えば、在宅勤務が中心になった場合、自宅のデスクワーク環境を改めて整備する必要があります。反対に、外出や移動が増えた場合は、移動中の姿勢や荷物の持ち方により注意を払うことが求められます。

新しい環境に慣れるまでの期間は、特に首や肩の状態に注意を向けましょう。違和感や痛みを感じた場合は、早めに原因を探り、対策を講じることで、問題の深刻化を防ぐことができます。

5.7.3 予防習慣の記録と振り返り

予防策を継続するためには、自分の取り組みを記録し、定期的に振り返ることが効果的です。実践している予防策、首や肩の状態、気づいたことなどを簡単にメモしておくだけでも、長期的な予防に役立ちます。

記録することで、どの予防策が自分に合っているか、どのような状況で首に負担を感じやすいかなどのパターンが見えてきます。自分に合った予防方法を見つけ、それを継続することが、首の椎間板ヘルニアの予防において最も重要な要素です

月に1回程度、記録を振り返る時間を設けることをお勧めします。その際、実践できている予防策とできていない予防策を確認し、必要に応じて計画を調整します。完璧を目指すのではなく、無理なく継続できる範囲で予防策を実践することが、長期的な成功につながります。

5.8 職業別の予防ポイント

職業によって、首への負担のかかり方は大きく異なります。自分の職業特有のリスクを理解し、それに応じた予防策を講じることが効果的です。

5.8.1 デスクワーク中心の職業

長時間パソコンの前で作業する職業では、前述したデスクワーク環境の整備が最優先となります。これに加えて、1時間ごとに数分間の休憩を取る習慣を確立することが重要です。

会議や電話対応の際も、首への負担に配慮します。特に、電話を肩と耳で挟んで話す習慣がある場合は、ヘッドセットやスピーカーフォンの使用を検討しましょう。この姿勢は首に大きな負担をかけ、椎間板への悪影響が懸念されます。

オンライン会議が増えている場合は、カメラの位置にも注意が必要です。カメラが画面の下部にある場合、下を向いて話すことになり、首への負担が増します。外付けのウェブカメラを使用し、目線の高さに設置することで、自然な姿勢で会議に参加できます。

5.8.2 立ち仕事中心の職業

長時間立ったまま作業する職業では、足の疲労が首や肩にも影響を及ぼすことがあります。クッション性の高い履物を使用し、足への負担を軽減することが、間接的に首への配慮にもなります。

作業台の高さも重要です。作業台が低すぎると前かがみの姿勢になり、首への負担が増加します。可能であれば、作業台の高さを調整するか、台を置いて作業対象の高さを上げることを検討しましょう。

立ち仕事の合間には、座って休憩を取ることも大切です。また、仕事終わりには足のむくみを取るためのケアを行うことで、全身の血流を改善し、首への栄養供給も促進されます。

5.8.3 運転を伴う職業

長時間の運転を伴う職業では、運転姿勢が首への負担に直結します。座席とハンドルの位置関係を適切に調整し、背筋を伸ばした状態で運転できる環境を整えることが基本です。

座席の背もたれは、腰から背中全体を支える角度に調整します。あまりに倒しすぎると、頭が前に出た姿勢になり、首への負担が増します。ヘッドレストの位置も重要で、後頭部の中央部分がヘッドレストに軽く触れる位置に調整しましょう。

長距離運転の場合は、2時間に1回程度は休憩を取り、車外に出て軽く体を動かすことが推奨されます。首を回したり、肩を動かしたりする簡単な動作でも、血流を改善し筋肉の緊張を緩和する効果があります。

5.8.4 重量物を扱う職業

重い物を持ち上げたり運んだりする職業では、全身の姿勢が首への負担に影響します。重量物を持ち上げる際は、膝を曲げてしゃがみ込み、背筋を伸ばしたまま脚の力で持ち上げることが基本です。

持ち上げた荷物を運ぶ際は、体の中心線に近い位置で保持することで、首への負担を軽減できます。荷物を頭より高い位置に持ち上げる作業は、首への負担が特に大きいため、可能な限り避けるか、補助具を使用することが望ましいです。

作業用の保護具を着用する際も、首への配慮が必要です。ヘルメットなどが重すぎたり、フィットしていなかったりすると、首への余計な負担となります。適切なサイズと重量の保護具を選び、定期的に点検することも予防の一環です。

5.9 家庭内でできる予防の工夫

仕事以外の時間を過ごす家庭内でも、首への配慮を続けることで、24時間を通じた予防効果が期待できます。日常生活の中に自然に組み込める予防の工夫を紹介します。

5.9.1 家事動作での配慮

家事のさまざまな動作も、首への負担に影響します。例えば、洗濯物を干す際に上を向く動作は、首を後ろに反らせる姿勢となり、椎間板への負担となる可能性があります。物干し竿の高さを調整するか、踏み台を使用して目線の高さで作業できるようにすることで、首への負担を軽減できます。

掃除機をかける際も、前かがみの姿勢になりがちです。柄の長さを調整し、背筋を伸ばしたまま作業できるようにしましょう。床の拭き掃除を行う場合は、四つん這いの姿勢で行うよりも、柄のついたモップを使用する方が首への負担が少なくなります。

調理の際は、まな板の位置や作業台の高さに注意します。低すぎる位置で長時間作業すると、前かがみの姿勢が続き、首への負担が増加します。可能であれば、作業台の高さを調整するか、台を置いてまな板の高さを上げることを検討しましょう。

5.9.2 読書やテレビ視聴時の姿勢

余暇時間の過ごし方も、首の健康に影響します。読書をする際は、本を膝の上に置いて下を向いて読むのではなく、書見台を使用したり、クッションで高さを調整したりして、できるだけ目線の高さに近い位置で読むことが理想的です。

ソファや椅子に座ってテレビを視聴する際は、画面が目線の高さか、やや下になる位置に来るように調整します。ベッドで横になってテレビを見る習慣がある場合は、首を不自然に曲げた状態が長時間続くため、この習慣を見直すことをお勧めします。

どうしても横になってリラックスしたい場合は、首を支える適切な枕やクッションを使用し、首への負担を最小限に抑える工夫が必要です。

5.9.3 育児における予防

小さな子どもの育児をしている方は、抱っこやおむつ替えなどの動作で首に負担がかかりやすい状況にあります。赤ちゃんを抱き上げる際は、膝を曲げてしゃがみ込み、体全体を使って持ち上げるようにします。

授乳の際は、授乳クッションなどを活用して、前かがみにならない姿勢を保てるようにします。長時間同じ姿勢で授乳を続けると、首や肩に大きな負担がかかるため、時々姿勢を変えたり、授乳後に軽くストレッチをしたりすることが効果的です。

おむつ替えの際も、低い位置で長時間前かがみの姿勢を取ることがあります。おむつ替え台の高さを適切に調整するか、立ったまま作業できる高さの台を使用することで、首への負担を軽減できます。

5.10 セルフチェックと早期対応

予防策を講じていても、時には首に違和感や軽い痛みを感じることがあります。これらの初期症状を見逃さず、早期に対応することで、椎間板ヘルニアの発症を未然に防ぐことができます。

5.10.1 日常的なセルフチェック項目

毎日の生活の中で、首の状態を簡単にチェックする習慣をつけることが、早期発見につながります。朝起きたときと夜寝る前に、以下のような点を確認してみましょう。

チェック項目正常な状態注意が必要な状態
首の動かしやすさ前後左右にスムーズに動かせる特定の方向に動かすと痛みや突っ張り感がある
首や肩のこり特にこりを感じないか、軽度のこり程度強いこりが続いている、日に日に悪化している
腕や手の感覚特に違和感なく、感覚も正常しびれやピリピリとした感覚がある
睡眠の質首の痛みで目が覚めることなく眠れる首の痛みで夜中に目が覚める、寝返りが打ちにくい
日常動作特に支障なく日常動作ができる振り向く、上を見上げるなどの動作に支障がある

これらのチェック項目で「注意が必要な状態」に当てはまるものがある場合は、早めの対応が推奨されます。ただし、一時的な疲労による症状である可能性もあるため、数日間様子を見て、症状が続く場合や悪化する場合に対応を検討します。

5.10.2 初期症状への対応

首に軽い違和感や痛みを感じた場合、まずは日常生活の中で首に負担をかけている要因がないか振り返ってみましょう。最近、長時間のデスクワークが続いていなかったか、重い荷物を持ったり、不自然な姿勢を取ったりしなかったかなどを確認します。

原因が特定できた場合は、その行動を控えるか、より首に優しい方法に変更します。同時に、首を温めたり、軽いストレッチを行ったりして、筋肉の緊張を緩和させることも効果的です。

温めるには、温かいタオルを首に当てるか、入浴時に首までしっかりと湯船に浸かる方法があります。温めることで血流が改善され、筋肉の緊張が和らぎます。ただし、炎症がある場合は温めることで症状が悪化する可能性もあるため、違和感が強い場合は無理に温めないよう注意が必要です。

5.10.3 症状が続く場合の判断基準

適切な対応を取っても症状が改善しない場合や、以下のような状態が見られる場合は、専門的な対応を検討する時期かもしれません。

腕や手に明確なしびれが出現し、数日経っても改善しない場合は注意が必要です。特に、特定の指だけがしびれる、しびれの範囲が広がっているなどの変化がある場合は、早めの対応が推奨されます。

握力が明らかに低下している、ボタンをかけるなどの細かい動作が以前より困難になっているなどの症状も、見逃してはいけないサインです。これらは、神経への圧迫が進行している可能性を示唆しています。

また、夜間の痛みで睡眠が妨げられる状態が続く場合も、対応を検討する目安となります。十分な休息が取れないと、体の回復力が低下し、症状の改善が遅れる可能性があります。

5.11 予防効果を高める生活リズムの確立

首の椎間板ヘルニアの予防には、規則正しい生活リズムを確立することも重要な要素です。不規則な生活は、体の回復力を低下させ、首への負担を増大させる可能性があります。

5.11.1 睡眠リズムの安定

毎日ほぼ同じ時間に就寝し、同じ時間に起床する習慣は、体内時計を整え、体の回復機能を最適化します。週末だけ遅くまで寝るような不規則な睡眠パターンは、かえって体の疲労回復を妨げる可能性があります。

平日と休日の就寝時刻、起床時刻の差は、できれば1時間以内に抑えることが理想的です。どうしても週末に遅くまで寝たい場合でも、2時間以上のずれは避けるようにしましょう。

5.11.2 食事のタイミングと内容

規則正しい食事のタイミングも、体のリズムを整えるのに役立ちます。毎日ほぼ同じ時間に食事を取ることで、消化吸収のリズムが安定し、栄養素が効率的に体内に取り込まれます。

朝食を抜く習慣がある方は、軽いものでも良いので何か食べる習慣をつけることをお勧めします。朝食を取ることで、体内時計がリセットされ、1日のリズムが整いやすくなります。

夕食は就寝の3時間前までには済ませることが理想的です。就寝直前の食事は、消化活動によって睡眠の質を低下させる可能性があります。質の高い睡眠は、首の椎間板の回復にも重要な役割を果たします。

5.11.3 活動と休息のバランス

日中の活動量と休息のバランスも、首の健康に影響します。過度な活動は首への負担を増やしますが、逆に活動量が少なすぎると、筋力低下や血流の悪化を招きます。

1日の中で、活動的な時間と休息の時間をバランスよく配分することが大切です。仕事や家事で忙しい時間帯と、リラックスして体を休める時間帯を明確に区別し、メリハリのある生活リズムを作ることが、長期的な予防につながります。

特に、就寝前の1時間から2時間は、体と心をリラックスさせる時間として確保することをお勧めします。この時間に激しい運動や興奮する活動を避けることで、スムーズに睡眠に入ることができ、体の回復機能が十分に働きます。

5.12 予防意識の継続と習慣化

予防策を知っているだけでは不十分で、それを継続的に実践することが重要です。予防を習慣化するための具体的な方法について考えてみましょう。

5.12.1 小さな目標から始める

すべての予防策を一度に始めようとすると、負担が大きく継続が難しくなります。まずは、実践しやすい小さな目標から始めることが、習慣化への近道です。

例えば、最初の1週間は「1時間ごとに首のストレッチを1回行う」という目標だけに集中します。この習慣が定着したら、次は「デスクワーク環境を見直す」という目標を追加します。このように、段階的に予防策を増やしていくことで、無理なく習慣化できます。

5.12.2 環境を整えて実践しやすくする

予防策を実践しやすい環境を整えることも、継続のための重要な要素です。例えば、デスクの近くにストレッチの方法を書いたメモを貼っておく、スマートフォンのアラームを設定して定期的に休憩を取る合図にするなど、思い出すきっかけを作ります。

また、予防のために必要な道具や環境を整えることも効果的です。適切な高さの椅子、画面を目の高さに調整するためのスタンド、首を温めるための温熱グッズなど、予防に役立つ物を身近に用意しておくことで、実践へのハードルが下がります。

5.12.3 家族や同僚との共有

予防への取り組みを家族や職場の同僚と共有することで、お互いに励まし合いながら継続しやすくなります。一緒に休憩時間にストレッチを行う、デスクワーク環境の改善について情報交換するなど、周囲を巻き込むことで予防意識が高まります。

職場全体で予防意識を高める取り組みを行えば、個人だけでなく組織全体の健康増進にもつながります。定期的な休憩の推奨、適切なデスクワーク環境の整備など、組織として予防に取り組む体制を作ることも検討する価値があります。

5.12.4 柔軟な対応と調整

予防策は、状況に応じて柔軟に調整することも大切です。完璧を求めすぎると、できなかったときに挫折感を感じ、継続が困難になります。

忙しい日や体調が優れない日には、無理をせず実践できる範囲で予防策を続けます。大切なのは、完璧に実践することではなく、長期的に継続することです。一時的にできない日があっても、また翌日から再開すれば良いという柔軟な姿勢が、長期的な継続につながります。

また、予防策を実践していく中で、自分に合う方法と合わない方法が見えてきます。効果を感じられない方法は無理に続けず、別の方法を試してみることも大切です。自分の生活スタイルや体質に合った予防方法を見つけ、それを無理なく継続することが、首の椎間板ヘルニア予防の最も確実な道筋となります

6. まとめ

首の椎間板ヘルニアは、加齢やデスクワーク、スマホの長時間使用など、現代の生活習慣と深く関わっています。痛みやしびれといった症状に悩まされる前に、日々の姿勢や環境を根本から見直すことが大切です。正しい姿勢の維持や適度なストレッチ、デスクワーク環境の整備といった小さな積み重ねが、首への負担を軽減し予防につながります。すでに症状が出ている方も、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。